第七章 夏は草に埋もれて 二

5/27
前へ
/604ページ
次へ
「氷花、到着したけど。車から降りて欲しいな」  到着したのは、家では無かった。 熱中してしまっていたので、外見は見ていなかったが、 よく高速道路のインターチェンジ付近に点在する普通のラブホらしい。 「……慶松」  仕方なく車から降りると、部屋に入ってみた。 結構広く、高級ホテルのような、上品な部屋であった。 「平日だからね。結構安い」  慶松はスーツを脱ぐと、ハンガーに掛けていた。 俺も脱ぐと、一緒に風呂へと向かってしまった。 「バラの風呂?」  大きな風呂に、赤い花びらが浮いていた。 「色々なグッズがあるよね。ほら、湯もバラの香り」  バラの香りはいいが、それで気持ちが高揚するということもない。 体を洗っていると、じっと慶松が俺を見ていた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加