第七章 夏は草に埋もれて 二

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 離れは、取り壊さなければならないほど、老朽化していた。 「氷花、又、色気が無い事を考えていたでしょ」  その通りであるのだが、首を振ってみた。慶松は苦笑いすると、俺の顎を押さえた。 そして、ねっとりとキスで塞いできた。  慶松のキスは、丁寧だが長い。酸欠になりそうで、息継ぎに必死になる。 そのまま、ベッドに押し倒されたが、まだキスが続いていた。 「氷花、逃げないで」  ベッドを、ずり上がってしまっていた。 結構広いベッドであるので、転がる余地が多い。 枕にゴミがあると思ったら、そこにも、花びらがあった。
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