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そこで、つい名刺交換してみると、互いに驚いてしまった。
「君、K商事なのか。商社だよね」
相手は、証券会社であった。
「証券会社の営業なのですか?」
相手は言えないが、大口顧客を周期的に訪問しているらしい。
長くこの土地の担当であったようなので、つい、祠堂の工場の具合を聞いてしまった。
「ああ、古い工場だよね」
ホテルのロビーであったので、温かいコーヒーを注文し、相手に勧める。
柴田までもが、一緒に話しを聞いていた。
「祠堂はね、何というのか、真面目な家系だけど色々と噂があってね……」
まず、啓一には子供はいないとなっているが、養子が一人いたのだそうだ。
それが、ある日、行方不明の後に死亡になっていた。
保育園児で、お昼寝の時間にトイレに行くと言い出し、そのまま消えてしまった。
保育士が探しまわっても見つけられず、その数日後、床下で凍死の状態で発見された。
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