第七章 夏は草に埋もれて 二

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 慶松の声は甘くて、俺は抵抗を止めてしまう。 「……いいよ」  そこで、慶松が真っ赤にならないで欲しい。 つられて俺も、ドキドキしてきてしまった。 何度もしているというのに、すごく新鮮に感じる。 「……氷花が素直に返事をするから、心臓がバクバクしたよ」  慶松が、俺の手を自分の心臓に当てていた。本当に、心臓の鼓動が速い。  慶松の顔を間近で見ると、本当に整っていてかっこいい。 ラーメン屋松吉でラーメンを作っている姿も、まるでテレビの中のように見える。 どこから見ても、慶松は手を抜かず、真面目でやさしい。  俺は、何度も慶松に恋をする。
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