第七章 夏は草に埋もれて 二

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 祠堂家には、その前もあった。 先祖も、殿様の小姓や、寺の小姓にもなっていて可愛がられていた。 祠堂には、そういう遺伝子が受け継がれているのであろう。 「帰りがけ、辺見さんが言っていた。自分には息子がいて、祠堂の遺伝子を断ちたかった」  辺見の息子の、啓一と佳嗣は、ちゃんと結婚していた。 「朝子さんと間にできた息子は、先生とデキている……」  辺見は、息子を叱ることができなかった。でも、朝子のショックは尋常では無かった。 「遺伝子なのか……」  確かに、辺見の祠堂は呪われているという言葉は分かった。
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