第七章 夏は草に埋もれて 二

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「でも、弥勒の一位は、永遠にシークレットにするつもりだと、宍戸君は言っていたよ」  俺が出会っている人間で、一番、B君に近いのは誰であろうか。 そして、俺は医師の三反崎にも、会った記憶がない。 「俺は、会っていない」 「氷花自身ではなくて、氷花が作った製品で出会っているかもよ」  俺が作ってしまった製品は、完熟野菜シリーズであろうか。 食べる事は感動する事をコンセプトに、量よりも質にこだわっている。 「……そうじゃない。俺が支持したコトだ」  もう一つあった。 安易に出回るのではなく、旬を自分で食べに行けということで、 K商事は完熟野菜ツアーを出している。 ただ食べるのではなく、感謝する事。 腹が減って食べ物が無い時に、握り飯を貰ったら、くれた人に感謝する。 どうしょうもなく、何もない時に、自然が恵みをくれたならば、今度は自然に感謝する。
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