第八章 夏は草に埋もれて 三

7/24
前へ
/604ページ
次へ
 止まったサービスエリアで、静香のサンドイッチらしきものを食べながら、 お礼のメールを入れておく。 すると、浅見から返信があった。 K商事は、今日も本社のみ立ち入り禁止になっていて、 皆、他の営業所に行き仕事をしているとある。 企画課は、全員自宅待機のままであった。 「氷花君、コーヒーだよ」  車椅子の信哉に、コーヒーを買わせていたのか。俺は立ち上がって、頭を下げた。 「すいません。気付きませんでした」 「いいの。俺達は、仕事仲間ではなくて、友人でしょう」  信哉は友人であったのか。 俺は暫し考えてから、友人だろうと思い直した。 多分、俺の親が用意した、友人であるのだ。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加