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「どうして、俺なのでしょう?」
「氷花君は、同情するでもなく、真っすぐに俺を見ていたでしょ。
それで、手を差し伸べてきたので、つい取ってしまった」
同情しないとは、よく言われる。
でも、信哉の足を見ると、かなりの勢いで、回復していた。
これならば、松葉杖や杖に移行できそうだ。
「氷花君の両親も、迷いもなく握り飯をくれたよね。よく似ている」
両親と似ていると言われたのは、初めてかもしれない。
信哉は車の運転に慣れてきたのか、気持ち良さそうに歌をうたいながら、笑顔であった。
信哉の手は、自由に動いていた。麻痺しているのは、足だけなのかもしれない。
「氷花君は、電気が専門だよね。野菜好きなのに、どうして電気なのかな?」
それは、よく聞かれる。
でも、本当の事を言うと、皆に否定される。
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