第八章 夏は草に埋もれて 三

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「ありがとう。図々しくてごめんね。何か欲しいものはある?」  俺は首を振ると、車に乗り込んだ。 「俺ね、B級グルメがこよなく好きでね」  自転車で日本を巡りながら、B級グルメを食べていたらしい。 「ラーメン屋松吉には行っていますか?」  そこで、信哉は何かを思い出したらしい。 「そうか。そうだよね。氷花君!ラーメン屋松吉の裏メニューだよね」  そこで、ピンと来るのが怖い。 野菜ラーメンに、ピーナツバターを乗せるという、裏メニューがあるのだ。 「車椅子を卒業したら、記念に、ラーメン屋松吉の特製野菜ラーメンを食べよう」  しかも、ニンニク餃子を事前に予約するという。 このニンニク餃子も、幻のメニューでおいしいのだ。 ニンニクをオーブンで焼いたものを使用し、それとひき肉などで作っている。 しかし、やはりニンニクなので、昼には食べられない。 それに、やや製作時間がかかる。
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