第九章 夏は草に埋もれて 四

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 車に乗り込むと、俺の母校の小学校に行った。  狭いグランドで、周囲に生垣がある。木造校舎で、レトロであった。 しかも、同じ敷地内に幼稚園も併設されていた。 「映画のロケにも使用された学校です。昭和初期の学校のロケでしたね」  中には入れないので、外側から見るだけになってしまった。 今日は平日なので、中では授業をしている。 ピアノではなく、オルガンの音が聞こえていた。  ここで出会った友達は少なかったが、ずっと連絡を取っている。 地元に残ったメンバーは、今でも時折は会っているという。 「いい場所だね」  これで、家に行こうとしたが、信哉はもう一か所回れと言ってきた。 行きたいと主張する場所は、寺であった。
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