第九章 夏は草に埋もれて 四

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「あ、ここは、相田(あいだ)の家だ」 「相田さん?」  何があったのか分からないが、行方不明になってしまった親友であった。 でも、親友と言っても、大学が離れてしまってからは、あまり会ってはいなかった。 「幼馴染で、毎日、一緒に学校に行っていました。 何でも話していて、互いの家にも行き来していました」  相田と俺の家は、田を突っ切ると近いが、道路で移動すると離れている。 「高校まで一緒で、大学で離れました。相田は長男で、地元の大学に進みました」  でも、品治とも大学は違うが、今も連絡を取り合っている。 相田と品治の、どこが違うのかは分からない。 強いて言うのならば、品治は時々、酒のカタログを送りつけてくる。 頼んでいないのに、酒を送り付けてきたりもする。
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