第九章 夏は草に埋もれて 四

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 相田の両親が、鍬を貸してくれたので、すぐに箱を見つけた。 小さな、木の箱で、中に袋に包まれて手紙が入っていた。 「俺宛てか……」  しかし、分厚い。 「すいません。読むと長くなりそうなので、俺宛ての手紙だけ貰ってゆきます」  他に両親宛てもあったので、箱ごと渡しておいた。 「ええと、寿梨さんの上は何歳ですか?」 「長男かな?春一(しゅんいち)五歳だよ。今、幼稚園に行っている」  俺は車に戻ると、菓子を持ってきて渡してみた。 「今、住んでいる場所の近くにある菓子屋の菓子です。皆さんで食べてください」  近所に配る土産も購入しておいたので、助かった。
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