第九章 夏は草に埋もれて 四

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「信哉さん?」 「……氷花君を調べていたら、あちこちから、逆に調べられてしまって……そこで、知り合った」  俺を調べていたので、遠見と、里見、それに桜坂まで警戒していた。 宍戸は、既に信哉の存在を認識しているようで、俺の端末に会わせてとあった。 「遠見さんは、足のリハビリ施設を紹介してくれたよ。 そこに、里見君も誘って欲しいとあった」  俺の周囲に、変な連絡網が出来てしまった。 「俺は、仕事に戻りたいしね……」  信哉は休職しているが、国家公務員であるらしい。 「車椅子でも戻れますよね?」 「そうだね。戻れる気がしてきたよ。でも、ちゃんと自分の足で歩くよ」  信哉は、大丈夫のような気がする。しっかり、前を見つめていた。
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