第九章 夏は草に埋もれて 四

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 俺がやっと実家に辿り着くと、既に、有真と御調が到着していた。 「遅いよ。護浩ちゃん」  実家では、信哉の移動のために、一輪車を用意していた。 まさか、信哉を一輪車に乗せて移動するつもりなのであろうか。 新品の一輪車もあり、家の中に置かれていた。 外にも、一輪車が待機していた。 「この、一輪車は何?」 「狭い道でも、これならば可能でしょ。皆、使い慣れているから大丈夫!」  力強く母が笑っていた。 車椅子があると、教えておけば良かった。 俺が、台車などと言ったので、両親なりに考えていたのであろう。  一輪車の前で固まっていると、信哉は自分で車を降りて、土産を降ろしていた。
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