第十章 夏は草に埋もれて 五

2/30
前へ
/604ページ
次へ
 信哉は、自分には必要がないから使って欲しいと言うが、 明らかに用意したものであろう。  しかし、象の木彫りは要らない。 「信哉さん、客間がないので、空いていた部屋を整理しましたよ」  有真が、信哉を背負って家の中を案内しようとした。 しかし、信哉は両手に杖を持つと、自分の足で立った。 「有真、補助をお願い。御調、転ばない様に後ろから見張っていてね」  信哉の自由に歩かせてみよう。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加