第十章 夏は草に埋もれて 五

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 俺は、自分の部屋に行くと、相田の手紙を出してみた。 封筒の裏に日付があり、五年程前のものであった。  窓に座ると、封筒から手紙を出す。 四コマの後ろに、文字が書かれていた。 「さてと、読むか」  ざっと見て、百枚はありそうな手紙であった。  読むと丁寧な字で、時間を掛けて書かれていた。  まず、相田は俺との関係を綴っていた。 相田と俺は、幼稚園で出会った。 送迎バスで通っていたが、俺は、有真の病弱のせいで親がバス乗り場に来ていなかった。 そこで、頼んでいたのが、相田の家であった。 相田の母親は、俺の事まで送迎バスの面倒を見ていた。
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