第十章 夏は草に埋もれて 五

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 相田の妹の美優は、相田の事が大好きだった。 相田は、母親の連れ子で、父親とは血の繋がりはない。 それは、近所や幼馴染も知っていて、隠している事ではない。  美優は、再婚してからの子供で、両親の子供であった。 だから、跡取りは美優であると、相田は勝手に決めていた。 しかし、両親は、美優が婿取りで農家は可哀想だからと、相田に農家を継がせようとした。  そこで、悩んで相田は俺に相談しようと思ったらしい。 でも、俺が全く家に囚われていなかったので、相談できなかった。 俺は次男坊であったので、家を継ぐという考えが微塵も無かったのだ。
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