第十章 夏は草に埋もれて 五

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 でも、高校の登下校はよく一緒だった。  電車通学だったが、駅までが遠かった。 駅も、木造で隙間風が凄くて、雨風のうち、風は全く防いでいなかった。 夏になると、線路の草をヤギが食べていた。  草で、線路が消えてしまうのだ。  俺は、どうしてなのか、ヤギが大嫌いで、ヤギが近寄ってくると逃げていた。 ヤギの目が、どうにも嫌いであった。
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