第十章 夏は草に埋もれて 五

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 手紙を本棚に隠して廊下に出ると、親父がビールを手に持っていた。 「もうビール?」 「歓迎といえば、酒」  御調が、布団を担いで廊下を歩いていた。 「御調。途中で牛乳を買ったよ」  途中、寄った所の全てで牛乳を買っておいた。 「ありがとうございます」  布団を俺の部屋に入れようとするので、拒否しておく。 「御調は、有真の部屋に泊まれ」 「嫌です!」  御調が入れないように立ちはだかったが、御調は布団を入れようとしていた。 「何を喧嘩しているの?御調君、俺と一緒の部屋でいいでしょ」  御調が真っ赤になって、信哉を見ていた。 この真っ赤は、何だか嫌な予感がするが、 ふらふらと歩く信哉を見ると、一緒の部屋に誰かがいたほうがいい。
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