第十章 夏は草に埋もれて 五

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「御調、信哉さんと一緒にしなよ」  御調は項垂れると、布団を別の部屋に運んでいた。 「氷花君、手紙を読んだのでしょ。内容は分かったの?」  信哉は、俺の部屋に入ってくると、椅子を探していた。 俺が、机の椅子を用意すると、信哉は座って俺を見ていた。  しかし、信哉がここに居るということは、親父のビールは何であったのだろう。 結局、来客を理由に飲みたいだけだったのかもしれない。 「ただの手紙でしたよ。明日は、信哉さんは田を見てきますね? 有真と御調に頼んでおきます。俺、ちょっと用事が出来ました」  俺は、再び窓に腰を掛けて、外を見た。
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