第十章 夏は草に埋もれて 五

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「……誰?」  ここまで大人数になると、地元を離れていた俺にはさっぱり分からない。 それに、何故、こんなに人がいるのかも分からない。 「母さん、これは、どうしたの?」  母と有希は、忙しそうに料理を運んでいた。 有希は兄の嫁だが、妊娠していて、やや腹部がふっくらとしてきた。 妊婦に料理を運ばせていけないので、俺も手伝おうとすると、母に追い払われた。 「役立たずは、近寄らないでちょうだい」  俺は、役立たずなのか。 再び挑戦しに行くと、今度は有希に追い払われた。 「護浩ちゃん、邪魔」  そこで、既に飲んでいた親父に事情を聞くと、 土産を配ったので、お礼に皆が自家製の食べ物を持ち寄ってくれたらしい。 そこで、一緒に食べようとなり、こうなったという。
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