第十章 夏は草に埋もれて 五

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 孝弘は、近所の人にビールを勧めて回っていた。 有真と御調は、端に座って幼馴染と飲んでいた。 「護浩ちゃん、信哉さん。こっち!」  有真に席を指定されて座ると、信哉には椅子を用意していた。 「そっか、美優ちゃんが来ていたけど、護浩ちゃん家を訪ねたのか……」  俺は空のコップにビールを注いで貰った。家なので、ビールが飲める。 「相田は行方不明のままだったよ」  そこで、近所の家の息子が、五年も行方不明だと付け足していた。 「まあ、俺の兄貴も、長い事行方不明だけどね」  御調は、牛乳を飲んでいた。 御調の兄は、不良からヤクザになったと、噂されていた。
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