第十章 夏は草に埋もれて 五

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俺は、サンダルで庭に出ると、品治の持ってきた酒を確認して、 ポケットから代金を出した。 「何の宴会?これ?」 「さあ。何だか宴会になっているけどね」  品治は代金を確認してから、試作品を出してきた。 「これ、持って帰れよ。こっちは、俺からのプレゼントね。 氷花の親父が来てさ、象を置いていったよ。他に、風呂敷?を何枚も持ってきた」  それは、風呂敷だったのだろうか。スカーフだった気がする。 「それで、俺の親もさ、これ持ってゆけってさ」  田舎はやはり、物々交換が主流なのかもしれない。 信哉の兄は、間違っていなかった。
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