第十一章 君と嘘の世界

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 再び宴会に混じると、信哉は近所の連中に酌をしながら、あれこれ聞いていた。 信哉がよく動くと思って見ていると、信哉は座布団に座ったままで、 台車で移動していた。 じっくり見ると、座布団の下にはキャスターがある。  その台車を、御調が移動させながら同じく近所の連中に酌をしていた。  御調は、全身が金属の鎖に覆われているが、中身は案外普通でもあった。 異常な牛乳好きだが、それ以外は、紳士で知的でもあった。  御調が動くと、貴金属が揺れジャラジャラと音がするので、よく分かる。
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