第一章 木の上の神様

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 風が強くなってきた、どこかで警報が鳴っている。 夜のようになった空が、渦巻くように揺れていた。 その中に、サイレンも人の声も吸い込まれてゆく。  風が連れてきたかのように、突然、黒い空から雨が降り出す。 慌ただしく人は走りだしたり、止まったりしている。 雷を孕む空をじっと見ていると、人が背を押していった。 歩き出せというのかと、歩き出してみたが、行き先を知らなかった。 「こっちだよ」  駅舎を出ると公園があり、茂った木々が一斉に揺れていた。 ミシミシと音を立て、折れるばかりに枝を揺らしている様は、 泣き叫ぶ様に似ていて、狂っているようにも見えた。 まるで化け物だ。 人を襲うかのように、木々も狂っている。
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