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風が強くなってきた、どこかで警報が鳴っている。
夜のようになった空が、渦巻くように揺れていた。
その中に、サイレンも人の声も吸い込まれてゆく。
風が連れてきたかのように、突然、黒い空から雨が降り出す。
慌ただしく人は走りだしたり、止まったりしている。
雷を孕む空をじっと見ていると、人が背を押していった。
歩き出せというのかと、歩き出してみたが、行き先を知らなかった。
「こっちだよ」
駅舎を出ると公園があり、茂った木々が一斉に揺れていた。
ミシミシと音を立て、折れるばかりに枝を揺らしている様は、
泣き叫ぶ様に似ていて、狂っているようにも見えた。
まるで化け物だ。
人を襲うかのように、木々も狂っている。
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