第二章 木の上の神様 二

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「ここの煎餅はおいしいよう」  団子を勧めないのが、通らしい。 「団子は食べないのですか?」 「買いに来たのだもの、食べないよ……」  どういう理屈であるのか、俺には理解できない。 どうも、団子は買いにくるもので、食べるものとは違うらしい。 「あの、この隣の駅前の森は何ですか?」 「ああ、神社の森だよ」  駅前が森で、相当な田舎なのかと驚いた話をすると、皆が笑っていた。 「神社の裏に電車が通ってね。地元は反対もしたけど、大昔のお役所の決定でね」  でも、電車の御蔭で、神社の参拝客は増えていた。 「今は、若い子が、パワースポットとかでよく来るけど、 昔は、暗くて怖くてね……首吊りの森なんて言っていたよ」  今は、縁結びで有名になっているらしい。 杉の木の下で、相手の名前を唱えると、結婚できるとも言われていた。 杉の板で出来たお守りに、相手と自分の名前を書いて、神社で封をして持ち帰ると、 結ばれるというのもあった。
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