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「それが、データをくれれば、特許使用料はいらないということだったのです」
祠堂もそれはおかしいと感じたが、経営もありその条件を了承していた。
「……変な話なのですが、この製品、どこか懐かしくて……作っていても楽しかった」
しかし、この工場の老朽化、従業員の高齢化もあり、閉鎖を決めた。
「閉鎖後は、妻の実家を手伝おうと思っておりますよ」
啓一は、どこか無邪気な笑顔であった。
妻の実家というのは、野菜農家であった。
「……何の野菜なのですか?」
あれこれ作っているというが、新作のキャベツを出してくれた。
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