第二章 木の上の神様 二

16/28

188人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
「それが、データをくれれば、特許使用料はいらないということだったのです」  祠堂もそれはおかしいと感じたが、経営もありその条件を了承していた。 「……変な話なのですが、この製品、どこか懐かしくて……作っていても楽しかった」  しかし、この工場の老朽化、従業員の高齢化もあり、閉鎖を決めた。 「閉鎖後は、妻の実家を手伝おうと思っておりますよ」  啓一は、どこか無邪気な笑顔であった。 妻の実家というのは、野菜農家であった。 「……何の野菜なのですか?」  あれこれ作っているというが、新作のキャベツを出してくれた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加