第二章 木の上の神様 二

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 駅まで仁美が送ってくれて、そこで手を振って別れた。 電車に乗ると、柴田が会社に連絡を入れていた。 この時間に新幹線に乗れば、会社に寄れる。 「柴田、製品の確保はできたか?」 「まあ、予定分はいけるよね。でも……気になる」  新幹線に乗り換えると、柴田は何が気になったのか教えてくれた。 それは、祠堂の仕入先であった。 小さな工場が多く、本当に祠堂が無くなると廃業になる。 次の生産先に移管になったとしても、小さな工場と取引はしないであろう。  最近は、取引先の選定も厳しいので、書類選考で落ちてしまう。  柴田は短い時間でも、そこまで確認していた。 「すると、同製品とはいかないね」  パーツが変わると、どうしても、同製品としては無理がでてくる。 「そうだよね。買い込むにしても、確約がないと通らないしね。 せめて内示を貰って確保しておくかな」  大企業が引き受けたから、いい製品になるとは限らないのが辛い所だ。 やはり、採算の取れる製品というのは、お得ではないのだ。
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