第二十一章 遠い雷鳴

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 楽斗の周囲は、死に彩られている。  俺は辺見から資料を貰うと、開発の続きを自分でしてしまった。 これで、試作品が作成できる。  川越は、途中、社長室に行っていたが、戻ってくるとかなり疲れていた。 「喜島が、これから慶松旅館に行くと言ってきかない。氷花君、どの部屋でもいいから、 予約してくれるかな?」  慶松旅館は、平日でも満室であった。急に宿泊が出来るとは思えない。 「それは、佐倉と話すためですね?」 「そうなんだよ。だから、一泊では済まないかもね」  こんな人騒がせな社長だったとは、知らなかった。 「佐倉が何なのかは、川越さんは知っていますよね?社長一人で大丈夫ですか?」  川越が、真顔になっていた。 川越も、弥勒というのは知っているのであろう。
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