第二十一章 遠い雷鳴

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「店は鈴木に頼んだ」  慶松は店主であるので、そんなに留守をしてはいけない。 「慶松、明日、来てよ」 「ダメ、氷花は無理をするでしょう?」  同じような理由で、孝弘も宍戸についてきていた。 「そっちも、同じなのか」  孝弘にも、何か考えるものがあったのであろう。 しかし、道中で喧嘩をしてきたらしく、宍戸と孝弘は険悪なムードになっていた。 「とりあえず、一旦、家に入ろう」  深夜に運転し、朝に慶松旅館に到着する予定であった。 楽斗が土日に行動する確証はないが、呼ばれている気がしたのだ。  宍戸の車を庭に入れると、雨が降り出していた。
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