第二十一章 遠い雷鳴

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「ロウソク?提灯?」   カーテンを少し開けると、傘を差した提灯を持った人影があった。 雨の中で、提灯の光が揺れている。この揺れは、電気では出せず火であった。  やっと懐中電灯を出すと、表の光は消えていた。  どこに行ったのかと、そっと他の窓から外を確認してみる。 まだ、周囲は暗く電気も復旧していない。 雨は激しいままで、まだ雷が近いと告げている。 「どこに行った?」  他の窓も確認しようかと、風呂に近寄ってみた。 すると、玄関の方からドアノブが回る音がしていた。  まさか、宍戸を家に案内していたので、鍵を掛けていなかったのであろうか。 慌てて、玄関に近寄ると、鍵は掛かっていた。
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