第二十一章 遠い雷鳴

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「どうしたの?何があったの?」  瑠璃子は、楽斗が訪ねてきたが、帰るまで慶松に知らせていなかった。 楽斗は、もう少し滞在したいが、もう時間が無いのだと言って帰って行ったという。  楽斗の時間がない。 だから、予定を早めて、ここに来ているというのか。 俺は玄関の鍵を開けようとして、慶松に手を押さえられた。 「ナイフが見えませんか?」  玄関の曇りガラスの向こうに、提灯の灯りが見えていた。 ナイフなんてないだろうと言いかけた時に、 ドアの隙間に刃物のような物を差し込む音が響いていた。 「パンのナイフ?」  サバイバルナイフではないだろう。
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