第二十一章 遠い雷鳴

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「どうしました?近寄ると濡れますよ。俺はレインコートを着ています……」  岩崎の無事を手で確かめると、手が濡れてしまっていた。 キッチンにある、タオルを持ってくると、岩崎に渡す。 「表に雷が落ちたみたいで、騒ぎになっている。それとB君が来ているみたいだ。 ナイフも持っている」  岩崎が脱いだレインコートを再び着ようとするので、俺が手で止める。 「だめだ。行くな!」 「表の様子が気になります。停電では防犯カメラも意味がないでしょう?」  でも、岩崎の腕を離せない。 「岩崎が行くならば、俺も行く」 「……その足で、ですか?我儘を言わないでください」  そっと岩崎が俺の腕を外していた。
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