第二十一章 遠い雷鳴

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「こんなに綺麗で、凛としている人が居るなんて知りませんでしたよ。 慶松店長の時もそうでした。こんなに優しい、いい人で、それに綺麗でかっこいい人が、 いるなんて知らなかった。俺は二人を愛しています」  愛しているなど、何の理由にもならない。俺は、岩崎の腕を掴もうとした。 「……ずっと、愛しています」  岩崎に頬を掴まれると、唇に何か冷たいものが当たっていた。 それが、岩崎の唇だと気付くのに、やや時間が掛かっていた。 更に、これがキスだと認識するのに、更に時間を要した。 「永遠に、愛しています。二人を守っていられて、俺は幸せでした」  そんな別れの言葉のような文句を、今、言わないで欲しい。
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