第二十二章 遠い雷鳴 二

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「孝弘君、今は生きているのか?」 「はい。宍戸との関係で、秘密が増えて、生き抜く事に必死になりました」  孝弘が自重気味に笑う。 皆に秘密でも、孝弘は宍戸と一緒にいたいという。 「……毎日、必死で懸命になりました。宍戸と会う一秒に、人生の……全ての喜びさえ感じます。 出会えて良かった……生きていて良かった」  宍戸は、孝弘の言葉に驚き、じっと孝弘を見つめていた。 孝弘は、自分の言葉を噛みしめるように、呟いていた。 「宍戸、今までありがとう。これからも、ずっと、ずっと一緒に居て欲しい。 不幸にするかもしれないけど、俺は一緒にいたいよ。宍戸が好きでしょうがないから……」  孝弘の本音に、宍戸は後ろから孝弘を抱きしめて泣いていた。 「俺も、大好きです孝弘さん」  いい恋愛とは言えないが、これはこれで、いいのかもしれない。
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