第二十二章 遠い雷鳴 二

5/28

188人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
「……岩崎が、岩崎がそっちに居るのだろ?どうして、声がしない?どうして、 姿が見えない!」  泣きたい気分で鍵を回すが、手が震えて開く事ができない。 意味が分かった慶松が、俺の手に自分の手を添えて、一緒に鍵を回した。 「岩崎!」  俺を中に突き飛ばして、慶松が外に出ていた。  俺は再び壁に激突し、廊下にずり落ちていた。 一日に何回も突き飛ばされていると、次第に慣れてきている気もするが、やはり痛い。 「慶松!本気で突き飛ばしただろ!」  一瞬、岩崎の事を忘れて、俺は外に飛び出した。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加