第二十二章 遠い雷鳴 二

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 玄関の外は、雨が降っていた。 暗闇に雨だけがある。 遠くで雷が鳴っているが、遠ざかったように感じる。  外には誰もいない。 しかも、玄関の庇の中が乾いていた。 ここに、誰かが来たという痕跡もない。 「楽斗さん、岩崎!」  外に飛び出そうとしたが、再び雨が降ってきた。 俺はサンダルであったので、長靴を出してみたが、やはりサンダルで外に出た。 この雨では、長靴でもどうせ濡れてしまう。 傘を手に持っていたが、やはりこの雨では役にも立っていなかった。
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