第二十二章 遠い雷鳴 二

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 どうしてなのか、慶松は岩崎に泊まっていけと誘った。 岩崎は真面目で、翌日はラーメン屋松吉の掃除をして行った。 そして、松吉で働くようになった。 「真面目で、面白味がなくて、でも、信頼できた」  岩崎は、人見知りで無口だが、優しかった。 「いつも面倒をみてくれて、ありがとう」  すごく、感謝している。 そして、言わなくてはいけない、言葉があった。 朝になったら、岩崎の家族が来る。 家族が来たら、岩崎は家族の元に帰ってしまう。 「ありがとう、岩崎。それと……さようなら……岩崎」  岩崎に別れを告げる。 葬式には行くつもりであったが、こうして語りあってさよならを言える場は、 もうないだろう。
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