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「柴田、帰れるかな、これ……」
一緒に出張に来ている、営業一課の柴田に声を掛ける。
今回は、この柴田と俺の、二人で出張に来ている。
「……無理かもね」
ここで野宿というのも辛い。
タクシーを見つけ乗り込むと、あちこち冠水していて、遠回りになった。
しかし、駅前を抜けると、そこそこ繁栄した街になっていた。
駅前が、神社であったので、森になっていたらしい。
目的地に到着すると、雨はやや小降りになった。
木々の茂る門の中まで、タクシーは入って行く。
「ここは、老舗の機械工場でね」
老舗ではあるが、老朽化により閉鎖されようとしていた。
K商事は品物をこの工場から購入していて、どうにか移管先を探したい。
しかし、ここの工場長は、頑なに移管を断ってきていた。
そこで、現場を訪ねてみたのだ。
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