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「喜島は、甘いものが好きでね……」
喜島とは、K商事の社長であった。
「氷花君、クッキーも貰ってゆくよ」
川越は、祠堂の工場を知っていて、閉鎖は決定だと伝えると残念がっていた。
手堅い製品で、安心して売れるものであったという。
「祠堂さんも、幾度も、倒産の手前までいっていたからね。
経営がね、下手だったかなあ」
製品作りに特化する道があれば、良かったのかもしれない。
「移管をするのでしょ。喜島に声を掛けておくよ」
川越は、喜島の叔父にあたる。
川越が去ってゆくと、浅見が俺を見ていた。
「川越室長は、社長に呼ばれていたのですが、昨日から逃げていました。
よく、行く気になったものです」
川越が呼ばれているのは、会社に問題が発生しているという事であろう。
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