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「君島教授は、数式の人で、理論の人でした。
物に美しさを感じるという面を見た事がなかった」
「もしかして、教え子なのかな?」
俺が頷くと、温科がため息をついていた。
「すごい大学の出身だよね……」
「慶松もですよ」
再び、温科がため息をついていた。
俺が席に座ると、まだ浅見が俺を見ていた。
浅見の兄、信哉(しんや)と旅行をする約束をしているが、まだ計画していない。
その事を、浅見は怒っているのであろうか。
お土産を渡して、機嫌を取ろうかとして、浅見の潔癖症を思い出した。
「浅見さん……手作りって大丈夫なの?」
団子やクッキーは、食べられるのであろうか。
「知らない人の手作りは、食べられません」
やはり、浅見には手作りのハードルは高かった。
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