第三章 木の上の神様 三

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「信哉さんにも、食べさせてあげてね」 「又、兄さんですか。たまには、私だけにもお土産をください」  でも、浅見は大切そうにトマトをハンカチに包んでいた。 「それでは、これ。恋愛成就のお守り。中の木札に二人の名前を書いて、 封印するのだそうだ」  赤い可愛いお守りであった。 「え…………」  駅前の売店で買ってしまった。 里見にあげようかと思っていたが、つい浅見に出してしまった。 「有名な神社だそうだよ」  浅見は、じっと木札を眺めていた。
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