第三章 木の上の神様 三

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 物は考えようで、地方でもそれなりに営業できる。 「でもね、氷花、やはり左遷と捉えてしまうのよ」  報告書を持った柴田が、いつの間にか後ろに立っていた。 「そうだよね。俺も、ここに来るのは少し迷ったよ……」 「…………氷花は、左遷では無かったでしょ」  柴田は報告書を川越に提出していた。 「俺、今日は、これで帰っていいのよ。早朝から移動してきたからね」  俺には、そんな特典は無かった。 川越を見ると、目を合わせないようにされていた。 「氷花。出張での補佐、ありがとう。又、頼むよ」  柴田は、チラチラと浅見を確認すると、部屋を出て行った。 今回は、俺は、そんなに補佐は出来なかった。主に、柴田が頑張っていた。
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