第三章 木の上の神様 三

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 自殺未遂の女子生徒、辺見は、先生を婿養子にしたのだ。 それほどまでに、先生を好きだったともいえる。 でも、三人が共に関わっているのは、少々変でもあった。 「何かありますね……」  この少し後に、啓一、佳嗣兄弟の父親も自殺している。 「特許の問題もあるし、恩師の君島教授と辺見さんに会ってきます」  そこで、何か進展するかもしれない。  他に、俺は、出張で疑問に思った事を遠見に話してみた。 祠堂の工場が無くなっても、啓一は農家になるという、第二の人生が待っている。 佳嗣は、今の生活が変わるということはない。  従業員も、落ち込んではいたが、工場の老朽化は激しく、仕方がないという思いも強かった。 それに、祠堂は次の就職先を、専門の業者に依頼もしていた。
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