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土地の売却益もあり、どうにか退職金に上乗せも検討できる。
従業員は、祠堂を恨んではいなかった。
しかし、仕入先からは、激しいバッシングを受けていた。
「そうだね、会社というのは、内だけに留まらず、外にも影響が出てくる」
従業員と、関わった企業を含めて、会社は成り立っていた。
祠堂の工場が無くなる事で、閉鎖に追い込まれた会社に、保障は何もない。
「だから、祠堂さんは自殺してまで会社を守ろうとした。
関連する会社の事まで考えてしまうと、どんどん、追い込まれてしまうのだろうね」
自分の家族の幸せだけ考えていては、社会からは弾かれてしまうのか。
啓一を見ていると、父親を尊敬していたが、どこか恨んでもいた。
結局、今、工場を閉鎖するということは、父親は問題を先延ばしにしただけであったのだ。
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