第四章 木の上の神様 四

3/29
前へ
/604ページ
次へ
 遠見相談所は、住宅街の中にあって、夜となると人通りが少ない。 古くから住んでいる人も多いのか、連なる民家の塀の上には、庭木も多かった。 それも、結構大きく育っている。 「K商事で爆発だって?」  それは知っているが、テレビ以上の事は知らない。 「そうなんだよね。それで、エレベータが使用できなくて、階段で降りたよ」 「無事って、電話をくれたらいいのに」  そんなに大きな事件なのだとは、俺は思っていなかったのだ。 「無事」 「今は、見たら分かるでしょ!」  それは、尤もな意見なので、俺は頷く。 「……氷花、マイペース過ぎだよね」  慶松に呆れられてしまった。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加