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―― ピピピピ!
季節は夏に切り替わろうとするこの時期、外は朝日が昇りきっていないのか微かに肌寒く感じてしまう。
眠いのか肌触りがいい毛布に体を包み込ませ丸くなる中、自室で目覚ましだけがうるさく鳴り響いている。
布団から腕だけは外に出して、何度も頭上で鳴る音を消そうと手を必死に動かしていた。なんとか目覚まし止めることができた私は、体を縮こませながら眠りに就こうとしていた。
だが、昨晩親に早起きしたほうがいいと言われたことを思い出した私は目を開け、布団から飛び出すように起き上がりボサボサの髪を手で荒っぽくかき分けながら、部屋を出て階段を駆け下りていった。
一階に降りてキッチンに入ると朝食を作っている母の背中が見えた。スクランブルエッグにウインナーの香ばしい匂いにお腹が鳴り出すので耳まで真っ赤になった。私はその顔を俯かせながらお腹に手を当てた。
「おはよ……」
普段煩い私は、家族でもお腹の音を聞かれたりすると恥ずかしくなってしまうのか、こういう時は小声になってしまう。
恥ずかしいのか細々とした声に気がついた母は、料理していた手を一旦止めてこちらに振り返った。
「あら、おはよう。今日も豪快ねー」
私が恥ずかしい思いをしているというのに、のんきそうな声でけらけらと笑いながら私のお腹を見てくる。
私はそんな母の言葉に更に顔を赤くさせて、その場を離れてそそくさと逃げるように洗面台に向かった。
洗面台に逃げ込むと火照った顔を隠すように、横の壁に掛けかけてあるタオルを勢いよく引っ張り顔を覆うように当てた。
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