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体育教官室で着替えていて出勤印を押し
忘れたことに気づいた賢一は、道着の上に
ブルゾンを羽織って一号館へ向かった。
車を降りてすぐに一号館に寄れば良いのだ
が、駐車場が体育教官室近くにある所為か、
時折寄るのを忘れてしまう。
体育教官室へ戻る途中、背後で女性の声が
した。
「落し物ですよ。」
賢一が我関せずと歩いていると、もう一度
声がした。
「伊藤先生、落し物。」
振り返るとパスケースを掲げる舞の姿が
あった。ブルゾンのポケットを探ると
入っているはずの革のパスケースが
なかった。
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