その面

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◆ ◆ ◆ 十年ぶりに爺さんを思い出して、家に行ってみたが、そこは空き地になっていた。 死んだのか、引っ越したのかは知らないが……。 そういえば、最後の日の帰り際に「その面は今、どこにあるのか?」と尋ねたら爺さんは「ここにある」と何処も指さずに言っていた。 餓鬼の頃は分からなかったが、爺さんの顔はいつもにこやかで、実はその面(つら)が、あのお面だったのではないかと今では思う。 きっと、面に取り憑かれてしまったのだと……────。
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