第1章 道具屋の娘

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「あはは!失敗しちゃった~。てへっ。」 雷が自分自身に直撃したわりに元気なリリアンが苦笑いしながら、同年代の生徒たちの中に戻って行く。 現在リリアンが魔法を派手に失敗した施設はカルラーム大陸の首都ボルンにある由緒正しい魔法学校である。 カルラーム大陸に住む住人の半数以上の先祖は魔に属する者の末裔、いわゆる魔族と呼ばれた存在であり、その結果魔法に特化した学校が多く、諸外国から魔法を習いに来る生徒も多数在籍している。 そんな由緒正しい魔法学校において、リリアンは過去最低から二番目の成績を誇る出来の悪い生徒なのだ。 ちなみに過去一番悪かった生徒は魔法そのものが使えなかったので、魔法が使えるにも関わらず過去二番目の烙印を押されるのは、リリアンはよほど酷い成績と言える。 リリアンの魔法の酷い点は…ずばり!命中しない事である。 しかも必ず誰かに当たるので、リリアンは別名ランダム娘と密かに呼ばれているのは内緒だ。 ボルン魔法学校には三つの学科があり、 【生活魔法学】ファイアの様に火を出す魔法やピュリフィ(浄水)ライト(点灯)など生活に便利な魔法を教える学科。 二つ目は【作業魔法学】サーチ(情報検索)ディクリエイト(重力操作)ドライブ(魔機操作)など建築や土木仕事に必要な魔法学科。 三つ目が【冒険学科】こちらは対モンスターを想定した攻撃魔法を扱う学科である。 特に冒険学科は魔法の威力もさる事ながら、職業(魔法使い)を名乗れるのは冒険学科を卒業した者のみであり、魔法以外にもモンスターの知識や地学や天文学まで習得する必要がある。 三つの学科のどれかを修めると免許証が発行されて、はれて学校以外でも魔法使用が許可される。 何故そんな面倒なシステムかと言うと、得てして強力な魔法が簡単に市街などで使用されると一般市民に迷惑がかかるからだ。 当然ながら、 生活魔法学<職業魔法学<冒険学 の順番で免許証取得の難易度が跳ね上がる。 そんな難しい冒険学科に在籍しているのが、リリアン・ローズという女の子なのだ。 何故そんな難しい学科にリリアンが居るのかと言うと、話しは半年前にさかのぼる…
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